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2022年10月より、【不整脈治療センター】を開設しました。一概に、不整脈といっても、脈が速い・脈が遅い・脈が乱れるなど、様々な病態を含んでいます。当センターでは、外来にて、できる限り非侵襲的な検査を優先して行い、診断・治療へと導きます。
不整脈診断後は、患者様と十分に相談させていただき、
などの適した治療を提案させていただきます。
また、当院の治療の特徴として、静脈麻酔を十分に使用し、苦痛を伴わない治療を心がけています。治療中に痛み・しんどさを感じることは一切なく、多くの患者様に非常に満足していただいております。
当院では、木・金曜日に不整脈外来を設けております。不整脈でお困りの患者様がおられましたら、一度是非当院へご相談ください。
医療関係者向けの不整脈ホットコールを開設しました。
貴院の不整脈患者様について、緊急如何にかかわらず直接医師と相談可能になります。
不整脈ホットコールの電話番号は地域医療連携室にてご案内しております。
まずはお電話下さい。
電話番号:072-422-9911(地域医療連携室直通)
日頃の診療で心電図の判読に迷う、重症度や緊急度の判定に迷う、そんなときにオンラインでご相談に応じます。
当院の専門医が判読し、可能な限り早急に診断結果を電話もしくはメールにてご連絡させていただきます。お気軽にご相談ください。
月~金曜日(祝日・年末年始(12/30~1/3)除く)
9:00~17:00
(※上記以外でのご相談は、翌受付時間内にご連絡させていただきます。)
お問い合わせフォームに必要事項を入力して送信してください。
「氏名」の項目には、医療機関名と先生のお名前をご記入ください。
フォームに入力いただいたメールアドレスに「お問い合わせありがとうございました。」メールが自動返信されます。
※このメールは送信専用です。ご返信いただいても確認ができませんのでご注意ください。
※メールが届かない場合はFAXでのご相談方法をご利用ください。
改めて病院よりメールをお送りしますので、そのメールに心電図の写真(スマートフォンなどで撮影していただいたもの)を添付して送信してください。
※可能な限り早急にご連絡させていただきますが、お急ぎの場合は、「お問い合わせありがとうございました。」メールを受信後、地域医療連携室までご一報くださいますようお願い致します。
TEL:072-422-9911(地域医療連携室直通)
心電図の余白部分に「医療機関名、先生のお名前、連絡先電話番号、ご相談内容」を記載していただき、地域医療連携室へFAXしてください。
FAX:072-422-9931(地域医療連携室直通)
以上のいずれかの症状が当てはまる方は不整脈の可能性があります。
当院、不整脈外来へお気軽に受診ください。
不整脈とは、心臓の拍動のリズムが不規則であったり、極端に頻度が高かったり少なかったりする状態を言います。心臓は刺激伝導系とよばれる電気の流れによって拍動が制御され、正常時には血液を一定のリズムで送り出しています。不整脈はその電気の流れや発生の異常によってもたらされます。心臓の拍動頻度が極端に少ない場合(心拍数おおよそ40回/分以下)を徐脈、その逆に速くなる状態(おおよそ110回/分以上)を頻脈と呼びます。極端な徐脈や頻拍では、心臓が十分に血液を送り出すことができず、体のはたらきを障害することがあります。
主に、徐脈性不整脈と頻脈性不整脈に分類されます。
刺激電動系の異常により、極端に脈が遅くなり、急に目の前が暗くなる(眼前暗黒感)、気を失う(失神)、めまい、息切れ(心不全症状)といった症状が出現します。
徐脈性不整脈の原因として、洞結節や房室結節による異常があり、洞結節による異常を洞不全症候群、房室結節の異常を房室ブロックと呼びます。
右心房には、心臓の中で規則的に電気を送る洞結節」があります。洞不全症候群は、洞結節の細胞に異常が生じ、心臓を動かす電気を発生させる回数が極端に少なくなったり、発生できなくなる状態です。電気不足になると、脈が遅くなるか、ときどき心臓が止まるようになります。一般に、数秒以上心臓が停止するとふらつきが起こり、10秒以上停止すると意識がなくなって倒れることがあります。洞不全症候群では、心臓が止まってそのまま死に至ることは少ないですが、意識を失った時にけがや交通事故に巻き込まれる可能性があるため注意が必要です。脈の遅い状態が長く続くと、心臓の機能が低下し、心不全になることがあります。
洞結節で作られた電気は心房から房室結節を経て心室を収縮させます。房室結節には電気の流れを調節する役目がありますが、この細胞に異常が生じて、収縮の命令が心室へうまく伝わらなくなった状態が房室ブロックです。房室ブロックになると、心室は自らで電気を発生させなければいけなくなるため、非常に不規則な脈になってしまいます。その結果、洞不全症候群と同様に、脈が遅くなった時にふらつきや失神、心不全が起こります。重度の房室ブロックでは、極端に脈が遅くなったり、時に心臓がそのまま止まったりしてしまうことがあります。 失神や心不全だけではなく、突然死を起こす可能性がありますので注意が必要です。
徐脈性不整脈の治療として、ペースメーカ埋え込み術があります。
ペースメーカ
ペースメーカとは、心臓の徐脈性不整脈を監視して、万一のときには治療するように設計されています。心筋に電気信号による刺激を与えることで、心臓のポンプ機能のズレを補正・補完します。
局所麻酔で鎖骨の下の皮膚を約3~4cm切開し、ペースメーカ本体を埋え込むとともに、リードと呼ばれる電線を血管(鎖骨下静脈)から心臓(右房/右室)に挿入・留置します。
近年、リードレスペースメーカが留置可能となりました。本体はカプセル型で、リードと呼ばれる電線がありません。バッテリーと刺激電極は一体化され、1.75g、1ccまで小型軽量化されています。植え込みは、足の付け根の大腿静脈から専用のカテーテルシステムを用いて、右心室の中隔心筋壁にフックで固定します。
リードレスペースメーカは胸に傷や本体のふくらみがないため、ペースメーカ本体を意識せずに生活することができます。しかし、リードレスペースメーカは心室しか刺激できないため、徐脈性心房細動や洞不全症候群と対象疾患が限定されています。
当院では、リードレスペースメーカ埋め込み術が実施可能です。
心房細動は、動悸などの自覚症状を引き起こし、日常生活の質(ADL)を低下させるだけでなく、脳梗塞や心不全を引き起こし、致死的となる危険性を孕んでいます。また、腎機能や認知症を悪化させることもあります。このため脳卒中・循環器病対策基本法には、心房細動についての知識を普及させる重要性について強調されています。心房細動で重要なのは、発症を予防すること、早期に診断すること、適切に治療を行うこと、の3つです。
心房細動の治療として、カテーテルアブレーションがスタンダードとなっています。心房細動の起源となる異常な電気興奮のうち9割が肺静脈から出現していると報告されており、異常な電気興奮が肺静脈から左心房に伝わることで心房細動が起こります。カテーテルアブレーションで、左心房と肺静脈の境目の筋肉を焼灼することで(肺静脈隔離)、電気が伝わらない状態にします。カテーテルアブレーションで、約80-90%で心房細動が改善すると報告されています。
カテーテルアブレーションでは、透視画像と、心臓の解剖学的形態と電気の興奮を視覚的に記録できる3Dマッピングシステムを用いて、不整脈の起源となる心筋を洞停止、焼灼・治療を行います。
心房粗動は、右心房内の三尖弁(右心房と右心室の境にある弁)のまわりを旋回する不整脈です。心房粗動では、心房は1分間に約200-300回の規則的な収縮となります。規則的とはいえ心房の壁は粗く震えるようになってしまうため有効な収縮は得られません。電気刺激は房室結節で選別され心室にすべてが伝わらないため、心室の収縮は、1分間に100-150回の規則的な収縮となります。すべての電気刺激が通り抜けてしまい、心室にも200-300回の刺激が伝わってしまう場合があり、この場合心室は収縮する前に次の興奮が来て、血圧低下や失神などの症状が出現しますので早急な治療が必要となります。
心房粗動の治療は、カテーテルアブレーションが基本です。心房粗動は、カテーテルで三尖弁と下大静脈の間を線状に焼灼し、心房粗動の原因となっている回路の一部を切断することで根治可能です。
規則正しく速い脈(100~200拍/分)を呈する不整脈です。発作中、心臓の中で電気は心房から心室に流れていきます。ほとんどの人は動悸症状を自覚し、脈拍が速いと血圧が低下(60~80mmHg)するので、症状としてめまい、ふらつきを呈することがあります。発作時の心電図を取れば診断がつきますが、発作時間が短いと心電図を記録できず、確定診断に至らないこともあります。
発作性上室性頻拍症は、メカニズムの点からの以下の3つに分類されます。
発作性上室性頻拍症にしめるそれぞれの割合は
1.房室結節回帰性頻拍が約60~70%、2.房室回帰性頻拍が約20~30%、3.心房頻拍が数%です。
上室性頻拍症はカテーテルアブレーションで、95%以上根治治療可能です。
正常な刺激伝導系である房室結節が2つの伝導路に分かれている人がいます。このような人は、房室結節内で回路を生じ、頻脈発作を起こすことがあります。アブレーションにより房室結節の片側を焼灼することで、不整脈は起こらなくなります。
心房と心室の間は通常は房室結節以外には電気を通さないようになっており、心房から心室に伝わった電気は逆戻りできないようになっています。しかし、WPW症候群では副伝導路(ケント束)と呼ばれる異常な伝導路が心房-心室間に存在するため、房室結節と副伝導路の間で回路が形成され、頻脈発作を生じることがあります。アブレーションにより副伝導路を焼灼することで、頻脈発作は起こらなくなります。
心室頻拍は、病的心筋や病的な刺激伝導系の緩徐伝導部位(電気がかなり遅く流れる場所)が存在し、ここを中心に異常な電気な流れが続く(リエントリー)状態で、血圧が低下し、心停止となる状態です。そのため、薬物治療およびカテーテル治療が必要です。3Dマッピングシステムを併用し、通常脈中に心室内の電気的情報を集め、その後、ターゲットとなっている心室頻拍をカテーテル刺激により誘発し、再度、心室内の電気的情報を集め、緩徐伝導部位を特定し、カテーテルアブレーションにより治療します。心室頻拍は器質的心疾患を合併しているケースが多く、通常、カテーテルアブレーションが成功しても再発を繰り返す場合が多いため、突然死予防のため、植え込み型除細動器(ICD)の植え込みを行なうことがあります。
心室細動は心室が痙攣している状態で、血圧が保てず、至急電気的除細動(電気ショック)をしなければ、死に至る致死的不整脈です。心室細動に対しては、通常、薬物および植え込み型除細動器(ICD)の植え込み治療を行います。心室期外収縮から心室細動に頻回に移行する場合が明らかな場合は、心室期外収縮をカテーテルアブレーションで治療します。
期外収縮とは、予定された心拍のタイミングとは異なったタイミングで脈を打つ不整脈で、不整脈のなかではもっとも頻度が多いです。期外収縮では、脈が飛ぶ感じ、ドキドキした感じなどの症状が現れることもあれば、無症状のまま経過し健康診断などをきっかけとして初めて指摘されることがあります。ストレスや疲れなどが原因であることが多いですが、背景に心筋梗塞や弁膜症などの心臓疾患があり発症することもあります。期外収縮には、心房から発生する上室性期外収縮と心室から発生する期外収縮に分類されます。期外収縮の中でも、自覚症状が強い場合、出現頻度が多い場合、期外収縮が心室頻拍や心室細動を誘発しうる場合には、カテーテルアブレーションで有効に治療できる場合があります。
不整脈は、①心臓の筋肉の中に異常な電気回路がありその回路から発生するもの、②心臓の一部から異常な電気興奮が発生するものに分けられます。カテーテルアブレーションとは、カテーテルで、異常な回路や異常な部分に対して、焼灼を行い、不整脈を抑える治療です。局所麻酔を行なった後、首の血管(内頚静脈)および足の付け根の血管(大腿静脈)にカテーテルを挿入して、心臓の中へと進めます。カテーテルの先端には電極と呼ばれる金属がついており、心臓の中の電気の流れを記録したり、電気刺激することができます。焼灼用のカテーテルを心臓の中に進め、高周波電流を流して心臓の筋肉が温められます。一定の温度以上に上昇するとタンパク質が凝固し、心臓の筋肉が電気を伝えることができなくなるため、不整脈の発生を抑制します。
カテーテルアブレーションは、心房細動、心房粗動、発作性上室性頻拍症、期外収縮(上室性/心室性)、心室頻拍などに行われています。
アブレーション治療は、不整脈の発生部位・治療部位をピンポイントで狙う治療であり、患者さんの動きや呼吸によって生じる位置データのズレが課題となっていました。ナビゲーションアルゴリズムが、ズレを補正し心腔内に挿入した電極カテーテルの位置を安定的に表示することによって、安全で正確な治療の実現が可能となりました。
アブレーション治療では、心臓の電気信号を把握し、不整脈の原因となる治療部位を正確に把握することが求められます。3Dマッピングシステムにより、あらゆる方向から流れてくる電気信号を視覚的に捉えることができます。電気信号の速度や流れる方向を色や矢印で定量的に評価することで、より正確な診断・治療につながります。
当院では、3社(CARTO、EnSite X、Rhythmia)の3Dマッピングシステムが使用可能であり、不整脈の種類、心臓の解剖学的形態により最適なシステムを選択し、高い治療効果を得るが可能となっています。
失神の原因として、起立性低血圧、自律神経の失調(神経調整性失神)、不整脈、脳疾患によるもの(てんかんなど)があります。中でも、不整脈による失神は、12誘導心電図やホルター心電図で記録できないことが多いです。そのため、埋え込み型心電図モニター(ICM)が導入されました。
ICMは、左前胸部の皮下に埋え込みます。最長2~3年間の持続的な心電図モニタリングができますので、失神が起きた際の心電図を調べることで不整脈に由来するものかを判断することができます。
長時間心電図を記録することができるICMでは、ホルター心電図の5倍以上の検出率があると報告されています。